「シャイニング」の姿

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映画館で観るとさっぱり分からず、もやもやしたまま映画館を出る。そんな映画があり
ます。面白くなかったのだけど、面白いというか、妙に引っかかる部分があり、何度も
頭の中でリプレイされる映画。初めて観た「ブレードランナー」もそうでした。

そして、この「シャイニング」もそう。

自分の中では、スタンリー・キューブリックという大監督の老年の失敗作として烙印を
押したつもりだったのですが、意外と周りの人の意見を聞くと名作の誉れが高い。
確かによく分からんところは多いけど、巷に溢れるB級ホラーとは隔世の感がある映画
だと、褒めちぎられています。 

そこで、もう一度観ることにしました。

なるほど、DVDでじっくり見直すと、さすが達観した視点で構図を切り抜き、直線的な
恐怖感をカメラにのせて届けてくれます。役者の演技も取り憑かれた域に達し、ジャッ
クニコルソンは当たり前、婦人は心底本物の恐怖に満ちています。だた、キューブリッ
クがかなり心理的に追い込んだようですけど。

この監督は知的に研ぎ澄まされている分、一回や二回映画館で観るだけでは理解出来な
い映画作家なのかもしれません。映画ならば映画館で観るべきという常識を、この非情
に高い知性を持つ皮肉屋は、確信犯として自らにかしたのかも。

そう言えば知性の高い変人創作者として、ピアニストのグレングールドいましたが、
なんだか作り出すものも、その、人生スタイルも似たものがあります。

さて、「シャイニング」ですが、好きなところはそのカメラワークと構図。端的に切り
取った、言葉少ない映像の白眉。まさに教科書というところでしょうか。高く低くなめ
らかに、流れるカメラの氷のような恐ろしさには感嘆します。

また、物語を背後から支える音楽の確かさ。何でも無い風景が一瞬に暗黒に繋がる導火
線としての役目を受け持っています。

カメラと音楽だけでこれまで恐怖を醸し出すとは、後生に伝えるべき映画の教科書です。

もちろん、ジャックニコルソンの、恐怖に引きずり込まれる変幻自在の表情と声は王道
です。妻役の演技も常軌を逸するとはまさにこのこと。子供の演技もいいですね。
消えゆく正常な世界を静かに見つめている。まさに「シャイニング」としての存在を
見せてくれます。

ただ、多くの評価の通り、スティーブン・キングが描いたシャイニングとは別物です。
そして、キングが最も核心的に捕らえようとした部分をあえてづらしています。
キングの原作はあくまでも悪霊が導く超自然的な物語で有り、その中で翻弄される
家族の絆。父と子の物語です。

しかし、キューブリックは閉ざされた中で、創作の苦しみから、狂気の世界に踏み入
れる創作者の苦悩や、狂気。それに翻弄される家族の密室劇の色合いが強い。本来な
らば超自然的な部分は無神論者で高度な知性の持ち主の彼は否定したかったのではないか?
と、思わされます。

この、作者の意思と、監督の意思との、微妙だけど確固たる断絶が、私に居心地の悪い
思いをさせています。これはどうしようも無いことかもしれませんが、超自然的な部分
を捨てて、完全な創作者の苦悩と狂気に絞った方が、それこそ素晴らしい傑作になった
のでは無いだろうかと思います。作家の吐露を中心とした作風は沢山あり、フェリーニ
などは彼の最高傑作の一つとなっています。もしかしたら、この作品もそうなったかも
しれないと考えるに、少しばかり苦い残念感が口の中に広がるのは私だけでしょうか。

 

 

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