孤高の意思が名画を生む「愛、アムール」

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 「愛、アムール」

Amour2013 09 15 1655 

ここが本文ミハエル・ハネケ監督の「愛、アムール」を観ました。

知性がほとばしり、精緻に構築した美意識で、人生の瓦解を描く、芳醇に、痛々しく、
そして、何よりも愛に満ちて。ため息が出るほどの美しい映画でした。

神は細部に宿ると言いますが、この映画のすごさは、細部まで一貫した意思と、美に
貫かれていることです。

素早くショットを変えて、臨場感を出すカメラワークが多い今、この映画は、これ以上
ないほどの、思考の錬磨から生まれた、固定された画角を使い、室内の造形物すべてに
意味を持たせています。

パンフォーカスの映像の中、老夫婦の日常がとらえられる。その周辺の家具や、壁、
小品すべてが、光の陰影の中、多彩で濃厚な色合いを持ち、希代の名画として昇華し
ています。

最適なレンズ選び、室内だけの物語に広大なドラマを作る構図。幾重にも変化する
物語の中、一点もぶれもなく行われています。廊下の奥で語り合う老夫婦を、
広角のパンフォーカスでとらえている場面の、日の光に輝く壁紙の美しさと言った
ら、言葉で表せません。

そして、音がいい。

音です。音楽を含めての。この映画の音の使い方はとても美しい。

ミハエル・ハネケ監督の音の使い方は、俗に言う映画音楽によって心を動かそうと
していません。しかし、音は実に効果的に使います。音によって、観客に映像以上
のものを伝えようとしています。

特に、会話。言葉です。言葉も音で有り、そのニュアンスで多彩な意味を感じ取り
ます。この監督の映画は会話が実に明確に聞こえてきます。そして、とても柔らか
く、豊かな流れ、リズム、を持っています。

とても、美しい。

これは、前作の「白いリボン」の時もそう感じました。ドイツ語での会話が実に美
しい。堅いイメージしかなかった、そして、乱暴な経験しかなかったドイツ語が、
なんとも歌っている。ちゃんとしたドイツ語はこんなにも美しいと思いました。

同じことがこの映画のフランス語にも感じました。録音も声のみを拾い出すように
調整しているのでしょうか。言葉の一つ一つが浮かび上がってきます。それに、
話している場面では、片一方が話すときには、相手の言葉を聞いています。言い争
わなくても、言葉が重なることはない。人が話す言葉の音をそれほど意味あるもの
美しいものとして取り扱っています。 

その代わりと言いますか、通常の映画音楽はほとんどありません。音楽は流れるの
ですが、主人公がCDを聞いていたり、妄想の中でビアノが奏でられたり、場面から
独立していません。その為、いいところでプッツリ切られています。せっかくいい
ところだったのにとちょっと残念でした。

物語は、音楽家の老夫婦が、妻の病気、介護から哀しい愛の結果へたどり着きます。

裕福で、知性に溢れ、名誉も手に入れた満足いく人生だった。その、彼らが、人生最
後に考えもしなかった壁にぶつかり、それに対して二人で歩み続けようとした愛の物
語です。

冷静に観れば、アパートの一室の中、老人と老婆の姿が延々と映されている。それだ
けの映画なのですが、最後まで、映像から目を離せませんでした。脚本なのか、演出
なのか、映像なのか、演技なのか、その素晴らしさの根源は、これらが明確な美意識
と、目的感で貫かれているからだと、思います。

持論として、映画監督と役者は常に別の存在でなければいけない。監督は常に、演じる
人間に客観的に接して、明確なコンセプトの元、一つの映画を作り上げていかなくて
いけないと考えています。

昔はそんな映画監督が多かった。

このミハエル・ハネケという映画監督は、孤高の美意識を持ち、孤独の意味を知り、
明確な方向へすべてを導くことの出来る希有な存在なのかもしれません。
 

 

 

photo:1V1
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