Kindleは恐ろしい。次へ次へ知識の無限地獄がここに生まれた。
あぶないKindle Paperwhite
Kindle Paperwhiteはあぶない。本当にあぶない。
Kindle本を直接買える。それも、おぞましいことに、ワンクリックで。何かの間違いで押したら最後、ありがとうございましたと、Amazonから言われたくもないお礼を言われる。
それに、もっと危ないのが、何年か前に出た本が微妙に安いことだ。486円とか299円とか、微妙な安さでこちらの感覚の隙を突いてくる。
これにはかなり自制心が必要になる。
時々、読むのに飽きたら、何気なくKindleストアを開き、ぼんやりと本を探してしまう。よせばいいのに、自ら虎穴に入る。
出るわ出るわ微妙な価格の読書欲をかき立てられる本たちが。
5百円で買うのは昼飯か本か
そうか、五百円以下なのか。これならちょっと買ってみるか。なんて、耳元で囁く声がする。あぶない、あぶない。こいつは気の迷い。あと先考えぬ物欲魔、魑魅魍魎の類い。
だいたい五百円ぐらいというと、昼飯代と変わらない金額。近くのスーパーで買う弁当とお茶でそれぐらいする。
本を買うということは、食べたのにまた昼飯の弁当を買うということだ。一日一回で良い昼飯を二回三回食うなんぞ、そんな人間世の中にいない。すなわち、昼飯を取るか本を取るかなのである。
本だから、教養だからと、別腹、別財布なんて考えてはいけない。別にしようが、高尚だと雛壇にあげて崇めようが、財布の中身は増えはしない。
いちいち、ほいほい買っていたのでは、こちらの身が持たん。昼飯代と変わらぬ値段が吹き飛んでしまうのだから。ことの重大さを知らねばならない。
計画的に着々と諭して
が、読書への欲望は抗しがたく、とめどもなく魅惑的な本が溢れ出す。
止めることができぬなら、それが、ほんの少しの人生の糧となるなら、よくよく吟味して月に一冊、もしくは二冊選びに選んで、買ってやろうと考えている。
何ヶ月に一冊は、何千円もするような、本も選んでやろうとも思う。長年読み継がれている確かな本は、何年経ってもやはりこれぐらいする。それでも、価値はある。
こうして、着々と書い進めていく。そう自らを、諭している最中だ。
この恐ろしき無限地獄に落ちぬよう
元に戻るが、本当にAmazonは恐ろしい。Kindleはおぞましい。紙のような質量が無い分、ちょっとした拍子で目につく端から買ってしまいそうになる。どれだけ買っても、本棚は窮屈にならず、鞄は重くならない。
黒い板の中にすっぽりと収まった電子の書は、その時々の都合で変幻自在に取捨選択を可能にし、読むことを即興的な娯楽へ変えていく。あらゆる知識を紙芝居のように、めくり送りながら一度に多く知ることができる。
飽きれば、次に行き、他を知りたければ、次に行く。知識の無限地獄がここに生まれる。
本当にKindleというのは恐ろしいものだ、この無限地獄の快楽に引き込み、知識の廃人にするために、どこかの神か悪魔が生み出したものでは無いかと、怪しんでいる。
どうか皆様、この恐ろしき地獄に足を踏み込まぬよう、お伝えしておく。