凡庸”感想”雑記「平家物語」

気になっているアニメ

とても気になっているアニメに「平家物語」物語がある。

山田尚子監督作品、サイエンスSARU制作のアニメだ。制作発表の時から気になって仕方がなく、YouTubeで予告が流れてから、居ても立ってもいらレ無くなった。

が、残念極まりないのが、FODの独占配信。世界的に知名度の高いNetflixやAmazonプライムビデオ、それに、アニメ専門のdアニメストアでは配信されていない。

もう一つ申し込まなければならないが、FOD、それほど興味惹かれる作品もない上に、月々980円と結構高い。

観たくて仕方がないが、この一作のためだけにと思うと、躊躇していた。

が、ふと思った。すでに最終回まで配信されている。それならば、全て見終わるまでさほど時間がかからないのではないか。つまりは、1ヶ月だけ契約し、その期間に見終わればさほど支払いもしなくて良い。(なんとも邪な考えだろうか)

と、いうことで早速FODに申し込み「平家物語」を見始めた。



近年稀に見る傑作

結論から言うと、近年稀に見る傑作だった、臆面もなく言わせてもらうと。

序盤の平家の権勢から、徐々に、確実に衰退し、滅んでいく様を山田監督らしい繊細な所作や、言葉で表現表している。ちょっとした目線や、握り合うての位置や速度、振り向く時の頬の揺らぎや髪の毛のほつれ。それらが雄弁に言いようのない感情を表し、哀れな行く末を示している。

最近、量産的で、効率的なアニメが多くなったのに、ここまで、よくもまあ映像作品として、何より、流転し翻弄された人生を描いた一編の史実として、特別の思いを込め描き切れてたものだと、ただ、ただ、感心し感動する。(あまりにも月並みな表現で陳腐過ぎやしないか)



極められた絵作り

写真が好きで、どちらかというと、映画もアニメも、文字を追うよりも、言葉をなぞるよりも、構図や色彩など画像を印象深く記憶するタチであるから、この作品もそのような視点見、結果存分に楽しんだ。

とにかく、構図と場面の切り替わりが妙味。目が追いつかないほどの、ぬるぬる動く作品ではないが、構図の取り方が見事。山田監督のセンスか、(絵コンテも彼女なのでそうなのだろう)ここまで、映像を追い込めただけでも見る価値はある。そう、嬉しくなった。



止め度もない悲しみを含む物語

物語の進め方は、最近のドラマやアニメのように一話ごとの最後に、次を期待させる盛り上がりを持たせず、全体が静かに確実に降っていく感じがする。

ただ、それだからこそ、滅亡への止め度もない悲しみが、全ての場面から立ち上がり、胸を締め付けられる悲しみを与えてくる。

今、よくこのような史実に基づいたどちらかというと地味な作品を、それを、持てる才能が枯れ果てるほど躊躇のない創作を行なったことは、いったい、どんな背景があったのか、それこそ、平家か何か右目か左目かの威力か。感謝しかないし、喜びしかない。



素晴らしき声優の存在

さて、ここではあえて言うまい。と言うわけにはいかぬ。

あまりにも当たり前の話だから、余計、陳腐な余韻しか残さないが、あえて言わせていただくと。

やっぱり、声優はすごかった。

全て魅力的なのだが、特に主人公級の三名。

ビワ役の悠木碧、平重盛役の櫻井孝宏、そして、平徳子役の早見沙織。この三名はもう、尋常じゃないほど胸を打つ演技をして、耳を楽しませてくれる。

悠木碧はもう鉄板だから言わずもがな。とても感心したのが、櫻井孝宏。ごめん、彼のことは今までそれほど気にはならなかったが、今回の存在感と儚さは、このベテラン声優の実力を素直に認めざるを得ない。

最後に控えしは、早見沙織。これは、もう彼女しかいないというか、この気品と気高さ、力強さは彼女しか考えられない。柔らかな心地良さと、相反する底強さ。これ以上の作品は得ることができるのか、いや、得て欲しいと願う。



もう少し、あと少し

で、ここで少し残念なところを。

膨大な作品をわずか、たった11話で表するだから、とにかくどんどん話が進む。途中置いてけぼりや、どうしてこうなった?という場面がある。

それに、これは基本的な平家物語、いや、日本の歴史に無知な僕のせいも多分にある。理想的には、物語の背景が理解できなければいけないようだ。

YouTubeでも同じことを思った人がいるようで、話の背景が分からないため、原作を読み、平家物語の解説本を手に取って、説明してくれている。これを見るとかなり物語が分かり勉強になった。(感動して興味を持ったなら、せめて原作でも読んだらいいが、どうにも気が進まない)



男の子だから戦闘場面を楽しみたい

あとは、やはりもう1か2話か増やして、有名な特に戦闘シーンを描いて欲しかったと、欲深く思ってしまう。物語の骨子が、平家と源氏の戦闘ではなく、滅びゆく平家の人々の境遇だから、そこまで手をつけると、膨大な労力と時間を費やすので、うまい具合には端寄っているのは違いない。

でも、戦争、戦闘好きの男の子だから、もう少しワクワクする戦闘シーンが見たかった。正直なところ。



最大の最高な欠点

そして、この物語の最大の欠点は。

一回観たぐらいでは、全く勿体無いく、無礼に近いほどの愚かなことだ。

抑揚を抑えて、それでいて、場面隅々まで気を張った類まれなる絵作り、物語を彩る声優たちの名演。気持ちを揺さぶる脚本。全てが、幾度も反芻しつつ、自分の感情の中に取り入れる喜びを約束している。

それで、残念ながら、速攻で解約するはずであったFOD。もう少し、続けてもう一回か二回見てみようと思っている。

月並みな言い方だが、このような大人が存分に堪能できるアニメ作品を、難しいかもしれないが、時々は着実に作って欲しいと、欲が噴き出してしまうのは、悪いことだろうか。





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