わらってゆるして。「万年筆のつぶやき」

ご主人は本屋が好きだ。 そこならいくらでも時間をつぶせるとのたまっている。
大きな本屋は知性の宝庫だ。並べられた本の中を歩いて、表題を眺めながら、
本の内容を想像するのが好きなようだ。

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本の中には、無限の人の知性や意思が詰まっていて、ほんの少しでも、
人の世を前進しようとする、善意が感じられる。

そんな妄想を勝手に思い描きながら、ご主人は本屋を愛す。

ただ、ここで問題なのが、ご主人、最近全く本を読まない。
もっぱらiPhoneで動画を見たり、下世話なニュースを見たりしている。

時たま、勢いで、小難しい本を買ったり、借りたりしてみるが、
往々にして僕を握りしめたまま、凍結している。

きっと、読みながら、小洒落たことでもつらつら書こうとしたのだけど、
脳の中で読解し、適切な単語に変換できないことを実感し、秋(飽き)の風に吹かれて、
凍ってしまったのだろう。ご主人らしい怠惰な日常だ。

最近、刹那的な刺激をタップリ電子機器から得、悦に入ってるご主人には、
光が発光しない書面は刺激が乏しく、何度も遂行しなければならない単語の羅列は、
短期で快楽には昇華しない。

つまらないのだ、ご主人には。

人は矛盾を生きている。矛盾が、その落差が、人の世の不可解な多様性を生み、
芳醇な宝華を花開かせる。

それならば、ご主人の知性に対する偽善を、笑って許してやろうではありませんか。









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