何を観ようかなと散々悩んだ結果、結局観たのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
ボンヤリとした頭で観たものは
朝、ボンヤリとしながら書いた通り、映画を観てきました。
何を観ようかなと散々悩んだ結果、結局観たのは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でした。
久しぶりのクアンティン・タランティーノ作品。結構期待していたのですが、正直に言うと僕には面白さがよくわかりませんでした。
もちろん、素晴らしいと言っている人も多々ありますから、個人的な主観です。作品良し悪しとは関係ないとして、僕の感想を綴って行きます。
乗れなかったそのワケ
どうして乗れなかったのかな。
タランティーノは強度なオタクです。確か知能指数がかなり高いと聞いた覚えがあります。そのためでしょうか自分が興味があることには、抜群の記憶力を発揮します。
この作品にもこれでもかと、彼の知識がふんだんに込められています。だから、分かる人には楽しめる作品が多い。
反面、理解出来なかった人には、全て見せ場のような、濃厚な場面がひたすら続くので、食傷気味になってしまいます。
なんたって、3時間の長時間作品ですから、いつまで続くのかと、ヘトヘトになってしまいます。
そういえば、何人も途中で退席していました。戻ってきたのでトイレだったようです。それに映画が終わると、エンドロール途中でそそくさと帰る人が見受けられました。
こだわりに答えた俳優たち
ただ、作品の演出や俳優の演技が決してお粗末なわけではありません。素晴らしい部類に入る演技でした。主人公のレオナルド・デカプリオとブラッド・ピットの対照的な演技は文句の付けようのないものです。
レオナルド・デカプリオが演じるには、昔はドラマで主演までして一世を風靡したのに、今は悪役や端役で食いつないでいる俳優。今は端役ばかりでもそれなりにいい暮らしをしています。
昔は良かった症候群に囚われている彼は、何かにつけて悲観的になりやすい。乏しい現在の仕事と、先の見えない未来を嘆き続けています。
哀れにも、何かのきっかけで、人目をはばからず泣き崩れてしまう。
B級作品の枠から抜け出ることのなかった危ういB級役者。
華はないわけでも無いけど、時代の変化に流されてしまう不器用な人。どこかでいるような、見たような、読んだようなよくある敗者です。
ディカプリオはよく演じています。
彼の役者人生とオーバーラップしているのかもしれません。彼自身も一歩踏み違えれば、このような立場になっていたはずです。少年期の彼は類まれな美しいさでした。しかし、大人になるにつれ、まばゆいほどの美しさは陰り、それでいてアイドル的な役ばかり、このまま過去の人になりかけた。
それを、後先考えないほどの壊れた演技を続け、ようやく演技ができる役者としての場所を見つけました。
今思うと、彼の人生を面白がって描いていたのではと思います。映画のいたるところ、身につまされる演技をしているのはそのせいでかもしれません。
そんな彼を公私とも支えるのが、専属スタントマン。ブラッド・ピットが演じています。打って変わって彼は底辺の生活をしながらも、飄々と受け止めて、今やれることに専念しています。
その姿がとてもカッコいい。
戦争の英雄だったことが映画の中で語られ、事実はわからないが妻を殺してしまったと、噂が広まっている彼の人生は、今生きていることが現実であり、余計な幸不幸を望まない潔さがあります。
ほとんどスタントの仕事もないのに、臆せず、嘆かず、スタントの仕事もないのに、公私ともの相棒として、俳優を助けます。
ブラッド・ピットにとても合っています。彼のいままで演じてきた姿を集約した役柄でした。
それにしても驚いたのは、ムキムキの体と、キレのあるアクション。結構いい年齢ですが、役のために日々鍛えているのでしょう。一生そのままなんかい!吸血鬼かなんかなんて思ってしまします。
主演の二人にとっては、かなり気合の入った、評価される演技に違いありません。今でも、頭の中で彼らの演技がフラッシュバックしています。
それと、これは全く意表を突かれてしまったのですが、映画の中でスティーブ・マックイーンを演じていた役者が、ほんとうにそっくりで。よく似た役者を見つけたものだとニヤニヤ。ほんの少ししか出ませんでしたし、後から調べてみても見つけられなかったので、無名の役者だったのでしょう。それにしても似ていました。
最後の最後でやっぱり
この映画はその当時のハリウッドと映画産業のあれこれを、重箱の隅をつつくように作り込んだ、とんでもないオタクな映画です。それをワクワク楽しめる人と、いったい何が起こっているのか首をかしげたまま時間を過ごしてしまう人。僕のような。
これで、評価がかなり別れる作品です。
意外と淡々と話が進むので、タランティーノらしくないなあと、終始、僕なんかは物足りなかったのですが、最後の最後。やっぱり、これはタランティーノ作品!と、びっくりしつつ驚いた大復讐シーン。本当だったらそうだったのに、それを、最後に見せてズドンと気持ちを落として終わると思っていたら。
まったくの、真逆。これは観てのお楽しみということで。