座っていても世界を旅する映画の醍醐味。スイス映画「ブルー・マインド」を観つつ考える。

映画の楽しみは世界旅行を映画を観るだけでできる事です。

遠い国のことが映画を観るだけで、分かります。この演出はどうしたって日本人にはできないなあ。とか、この発想や感情はとても新鮮だ。など、その民族の思想や思考が滲んで見えてきます。

同じアジア人の韓国でも、根本的に日本人とは違うんだなあと、韓国映画の演出や物語の展開を見ると実感させられます。それは、それぞれの培った歴史の結果であり、非難や差別などせず違いを味わうことが必要です。

今日、Amazonプライムビデオで「ブルー・マインド」というスイスの映画を観ました。

あまり目にしないスイス映画。どんな映画なんだろうと見始めると、これがなかなか面白い。

内容は、15歳の少女が大人の階段を登る怪談映画。

初潮が始まった時から、どんどん体が変化してきて、生食の欲求が抑えられなくなる。金魚をパクパク食べるシーンはなかなか戦慄です。

このように、昔見た「ザ・フライ」のような少しづつ怪物に変化していく、怪物ホラーなのですがハリウッドのような派手な演出やCGは一切なく、透明感のある演出でじわじわ進んでいきます。

思春期の少女の危うい気持ちと、SEXや薬、万引きなどの過ちを刹那的日々。そして、その中、少女の体が足先から、醜く変わっていく様が、静かに痛々しく美しいショットの連続で描いていきます。

一歩引いた傍観者の視点で、決して大声をあげず終末に向かって突き進む映像と演出の冴えは、知性的で理性的なスイス人の性質なのかもしれない。と、考えさせられました。

よくもまあ日常を描き、ここまで緊張を掻き立てられるのか。感心しました。

映画など創作品はどう取り繕うが、本人の意図を超えて、生きてきた人生を映し出します。最近のハリウッド映画は、ここの人生をなるべく排除して、普遍的な喜怒哀楽を指向しています。

万人に受けいられれるからとの事だろうですが、内容が希薄になり、興味を削がれてしまいます。創作というのは遠回りのようでも、自己の中にある部分を掘り下げたほうが、より多くの感情に共鳴するのかもしれません。

この映画のこととはかなりズレてしまいましたが、この映画を観ながらそんな事を考えたのです。

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