つぐみの瞳に乾杯!と言うか完敗?

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つぐみの瞳に乾杯!と言うか完敗?

Kindleを買ってからちょくちょく本を買ってしまっています。まんまとAmazonの術中にはまったというところです。

興味がある本は、手当たり次第に試し読み、初めの何ページを読んだらもうたまりません。そのままワンクリックで購入してしまいます。ワンクリックとは、本当に悪魔の仕組み。巨人に出くわしたぐらいの戦慄が走ります。

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この間買って、今日読み終わったのが「つぐみ」吉本ばななさんの小説です。大昔に話題になって、牧瀬里穂で映画化されました。今の人は牧瀬里穂知らないかもしれていなあ。青春の光みたいな人だった。今どうしているのだろう。

この小説も、試し読みでKindleにダンロードし冒頭を読み始めたのです。が、つぐみの容姿を書き表した部分を読んだ瞬間に、これは買わないと!と、躊躇なくワンクリックしてしまいました。

正直、彼女に、架空の彼女に、惚れちまったんですよね。

現実にはありそうもない人物描写なんですが、ありありと彼女の容姿が頭の中で浮かび上がって、興味が強引に引っ張り出されたってわけです。

物語は彼女の唯一の友人と言える、いとこの女子大生の語りで進むのです。それが、なんとも変凡な女子で、彼女との対比がとても楽しい。読みながら、巻き込まれ型の性質を哀れに思いつつも、超絶した存在のつぐみを受け入れていく、広さに感心してしまいます。

物語は、性格が最悪で、自分本位に振る舞い、周りをヘトヘトさせつつ、細心心遣いをうっすらとだけど、鋭く見せるつぐみの人となりを、削り出しながら進んでいく。

ただ、彼女は通常の人よりも、かなり体が悪い。少しのきっかけで発熱し、倒れ込んでしまう。だけど、いやそれだからこそ、生命への意欲と、自我の構築は並大抵ではなくて、それを突き放しながら、疾走する彼女の生き様がなんとも愉快で仕方がなかったのです。

なんだか、彼女と面と向かって、気兼ねなく罵詈雑言を多分に含んだ会話をしたくてしょうがなくなりました。なんたって、この僕もかなりの口の悪さですから、日頃気を伝って押し込んでいるそれを、存分に放逐できそうです。彼女なら、同類として盛大に反発してくれるでしょう。

それよりも、何よりも、小説から湧き出す彼女の美しさ、強烈な強固な瞳や鼻筋、体躯を愛でてみたい。なんだから、もう変態ですね。

もちろん、この小説のいいところは、彼女を取り巻く周りの人々の描きかた、受け止めかたが実にいい感じで、描かれていることです。貴重で壊れやすく、猛毒を含んだ彼女の人生を、運送のプロのごとく、一切の揺れを起こさぬように綿密に梱包し、高度な運転技術で人生という道路を、運搬している感じがします。

確かに、悪辣な人も出てきますが、それ故、彼らの丁寧な存在が浮かび上がり、心地よくなります。

それと、やっぱり作者は言葉の発想が、非凡ですね。大作家にこんな当たり前のことを言うのもなんですが、海に囲まれた田舎の観光地の、一夏の出来事を、それなりに普通の生き方をしている人の風景を描いているのですが、物語の一端一端に、ハッとするするぐらいに、精緻で聡明な言葉が差し込まれてきます。

なんだか、感心するやら、感動するやら、得した気分になる。

ただ、もう一歩、足を踏み外すと、いやらしくなる。作者の知性の高さの匂いが、どうしても気になってくる。ちょと、感覚として松任谷由実の歌詞のような、美しい優越感を感じるんです。これは、僕のひがみかもしれませんけどね。

まあ、これは些細な気になる点で、全体的には全くもって、大満足です。

物語は、静かにあっけなく終わります。強烈で人智を外したつぐみの言動に狼狽しながら、読み進み、勝手な妄想。大体は悲劇的な。それほど、もうどう転んでもいいほど、彼女はドラマティックな存在として描かれます。それこそ、最後は宇宙人とともに宇宙彼方に消えていく。それでも許します。

そんなことを思い描きつつ、内心ヒヤヒヤしつつ読み進み、あわやってことになるのですが、見事に平凡に収取し、これ以上ないほどの日光にたなびくカーテンのごとく物語が終焉します。残された僕はあっけにとられて、それでいて、青臭い失恋のごとくの、かすかな焦燥感を味わい。どっしりとした満足感がその上に被さりました。

吉本ばななさんの小説は今まで敬遠して、読んだことがなかったのですが、今回初めて読んで結構気に入りました。これは、Amazonのおかげなんでしょうか。それとも、罠なんでしょうか。指先が他の彼女の作品を買ってしまいそうで、恐ろしくてしたかありません。

誰か買ってくれれば、次の本が買えるんです。









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