もう一回見て気付けることのありがたさ

映画でも本でも、アニメでももう一回見直すことはまずしません。(この場合の見直すというのは、観る、見る、読む、ことになる)一回で、わかった気になって満足しています。

でも、偶然が、必然か、もう一回見直すと、とても良かったもの、理解できたものがある。ほんと、初め見たときにはこんなこと気がつかなかった、こんなにいい映画(小説などなど)だったっけ?なんて感じで。 

面倒くさらず、もう一回、いや、納得するまで何回も見直すことが必要なんだなと、思い知らされて打ちのめされて、途方に暮れて。(別にその必要はないけど)

この間見返して、よかったなあと思ったのが、「映画版 幼女戦記」かなり評判良く、とても楽しみにしていた作品。DVDがレンタル出来るようになったので、僕としては珍しく新作で借用。

見た後、確かに面白いし、満足したけど、何かもう一つ欲しかったなあという気持ち。でも、何か引っかかるところがあって、気になっていました。

それが5月からNetflixで配信されるようになったので、これ幸いと見直しました。

見直して、細部の出来の良さが良くわかる。特に、主人公の声を当てている悠木 碧の演技が上手い!「あっ」とか、「うっ」とか、言葉に詰まるところの、タイミングとリズムが素晴らしい。リズム感と反射神経が抜群。

もちろん、映像の確かさ、演出の力強さ、落ち着いてもう一度見直せたからわかる部分が多々あります。

映画からはもう一つ「オール・ザット・ジャズ」これも良かった。

初め映画館で見た時には、今ひとつピンとこなかった。名前の通りゴジャゴジャした感じで、頭に全く入って来なかった。

それがです。確か田舎の名画座でしょうか。今は潰れてなくなってしまいましたけど、そこで、上映されたんです。名画座ですから、安いし、他に何本か同時にかかる。

前に見たのだけど、これがつまらなくても、他のが面白ければこれで元は取れるだろうと映画館の中へ入ったんです。

が、次見るとこれがとても面白い。

話の流れも一度見ていたせいかよくわかる、ジャズの通り、彼の人生が複雑にややこしく、猥雑に華麗に流れていく。そして、最後はあらゆる人に愛され愛想尽かされ、人生から降りていく。

それが、華々しい歌と踊りで、圧巻のステージで描かれる。だけど、それが華やかで煌びやかなほど、すごく悲しく、哀れで、名残惜しい。涙が出そうになるのです。

少し、年齢を重ねたからか、二度目だからか、よく判らないんですけど、兎にも角にもグッときましたね。ホント良かった。ちなみにこの映画、前にまた見てしまいました。もう僕のフェイバリット。

似てもにつきませんが、僕は彼のような天才になりたかったし、数多くの美女と知り合いたかった。現実には全くなく強制的な品行方正ですけど。それに、引かれたからなのかも。

こんな、破滅形の天才って、迷惑な存在だけど、憧れちゃいますよね。いけないとわかっているけど。

さて、次はなんだろう。そうだ、小説ならば夏目漱石の「三四郎」

これが良かった。「こころ」よりもこちらの方が、僕にとっては夏目漱石ランキング上位。

「こころ」は超名作で、質としては上なのでしょうけど、どうも、二度目は重くていけません。一年ぐらい前に、気が向いて読んでいたのですけど、後半の先生の手紙になってから、もう重くって、辛っくて、今度読もうと思いながら、読みきれない。意気地なし。

それに比べて、「三四郎」は隙間があるというか、青臭さがあるというか、愛とか恋とかが死線を超えていない、楽しさが、歯痒さが、読む手を止めさせないというか。とにかく、ずっと読みやすい。

それに、主人公を翻弄する女性がなんともいいんです。ツンデレって言うでしょうか。その極み権化?明治だから、おおぴっらに好きだと叫んだり、酒を飲ませて押し倒したり、部屋の真ん中で突然なんてこともない。もう、朴念仁には決して分かりようもない、湾曲した遠投で色恋をちらつかせる。

僕の解釈だと、ある人がとても好き、だけど、全く朴念仁でなびかない。そこで、全く関係のない男(これは主人公)にちょっかいを出して、朴念仁を嫉妬させてなびかせようとする。と、思うのですけど、でも、その辺が本当全く上手く薄曇りにさせられていて、「こころ」みたく、すっきり、はっきり、愛した惚れたなんて書いていない。もう、主人公じゃないけど、読んでいるこっらもヤキモキしたまま終わってしまう。

すごいのは、結局何も言わないまま、全く別の男性とお見合いして結婚して終わるのですから、主人公同様こちらもポカンですよ。いやはや面白いのなんのって。

今、太宰治の「女生徒」と川端康成の「雪国」を読み返しています。落ち着いて、文章をゆっくり噛みながら読むと、やっぱりいいもんです。よくわかる。

毎日、新しいものに触れる多さを競い合いながら生きているところがどうもある。あくせく、早く、多く、出会い取り入れることに、四苦八苦してしまっている。

だからなのか、一度見たものはすっかり過去に置いて、先を急いで前に進んでいる。

でも、その慌ただしさから溢れていくものが、なんだか人にとって大切だったりする場合もあるかも。そんなことを考えると、これはと言うものは、二回三回見直すことも大切じゃないかと、最近、ふと思ったのです。

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