この間Amazonプライムビデオで「団地」を観ました。

藤山直美と岸部一徳が主演だったので、2人の軽妙な関西弁のやりとり、それだけを楽しもうと、さほど期待せず観始めました。

案の定、おもろいおもろい。心地よい関西弁のやりとりが、ほっこりして落ち着く。たまにはほんまこんなほんもんの関西弁を聞かないかんなあ。と、楽しんでいたら、話がどんどん変な方向に進んで、おもろいだけじゃ無い、人の清濁を表現した、想像以上に深いいい話でした。

この夫婦、一人息子を交通事故で亡くしていて、その悲しみが静かに染みてくる引きの演出がとても良かった。これを撮った監督、「どついたるねん」とか「仁義なき戦い」、「亡国のイージス」等々、アクションやバイオレンスを得意とする阪本順治監督。

本当に監督が撮ったの?と、思うほど素晴らしい引きの映像で、静かに淡々と物語を進めていました。僕はこんな引きの演出が大好き。この監督の引き出しの広さを改めて知った次第です。

もちろん、静かな綺麗な話だけでなく、団地の住人たちが主人公夫婦のご主人が見えなくなったことで、初めは些細な主婦同士の噂から、どんどん疑心暗鬼になり、団地全体を巻き込んだ騒動になるところは、集団の恐ろしさを改めて感じました。

世の中で、国や民族がお互い憎しみ合い、戦争に発展するのは、こんな感じなんだろうなと、観ながら背筋が寒くなりました。

で、この話。斎藤工が変わった役で出ているのですが、変な言葉使いに態度。凄かったのが全く瞬きをしない。変な役者根性を見せられました。

これ以上は書きませんが、びっくりこれはSFなんです。これまで書いたら分かってしまうか。でもこれは観てのお楽しみ。

僕も息子がいますが、夫婦の悲しみが心に深く染みてきます。人ごとでなくて、ほんと悲しくなる。その分、ラストの一瞬は、忘れられない嬉しい驚きでした。

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