凡庸鑑賞雑記「ストレンジャー・シングス シーズン4」

とうとう始まった最悪最強最愛の時間泥棒

Netflixで「ストレンジャー・シングス シーズン4」が始まった。

このシーズンも舌なめずりをしながら見始めた。毎回期待を裏切らない面白さ。

いや〜。今回も面白さが半端ではない。一見関係のない話が複数進み、一体どうなることやらと、ワクワクハラハラ、観ている者を引き付けて離してくれない。

前回からかなり時間が経っているので、すっかり関係性を忘れていて、あれ?どうだったかなと、今一つピンとこないところも所々あって戸惑ったのだけど、観ているうちにじわじわと思い出し、どんどん話にのめり込んでいく。

こんなに美味しい作品だから、一話一話じっくり時間をかけて丹念に観るつもりだったのだけど、悲しいかな全く止められない。終わるとあら不思議、気がつけば自然に次が再生されている。(Netflixの自動再生もあるが、それだけじゃない)これは、最悪最強最愛の時間泥棒だ。

オリンピックの競泳ような演技

どうしてこうまでも引きつけられるのか考えてみるに、当たり前のことだが演技がとにかく抜群。子供から大人まで本当に上手い。それに、勢いがあるというか、乗っているというか、長年続けてきた間柄で生まれる一体感がレベルを越えている。役者たち全てが、物語の海を息継ぎなしに存分に泳ぎ切っている。オリンピックの競泳選手みたいに。(変な表現しかできなくてもどかしい)

映画人ならお手本にすべきキャメラ

そして、キャメラがこれまた素晴らしい。ここぞというときに、重要なところへズームして、絶妙に視線を誘導する。広角や望遠を駆使しながら、人物の心の動きを表して印象付ける。

お主、ただもんじゃないな。と感嘆させる匠の技で、ひとときも飽きさせない。ホラー、アクション、サスペンス映画のお手本のような撮り方だ。

映画やドラマを撮りたい志を持つ方は、冷静に詳細にこのドラマのカメラの動きを分析して絶対損はない。観ながらこりゃかなりの強者がカメラをやっているなあと、嬉しいため息をついている。

問答無用の金使いからの特撮

それに、金の使い方が上手い。

場所は貧相なアメリカの田舎町。放っておけば地味でつまらぬ絵になり、単調な物語になるのは必至。最近、役者にお金をかけたけど、その分、他の部分で貧しくなって、地味な風景そのままに、ひたすら少人数の人間ドラマで終始なんてことが多い。(実はNetflixはそんな映画が多い)

だけど、今や世界で大人気のこのドラマはそんな貧相なこととは無縁。出演者誰もがギャラはそれなりだと思うのだけど、重要な場面では、それは贅沢にお金を使っている。

特撮(CG?)!がなんと言っても素晴らしい。気分が爆上がるような見事さ。

普通の風景に、変な光を当てたり、直接見せずに役者にさも驚いたような演技をさせて、その場をしのぐなんてことは皆無。凄まじいく濃いシーンを真正面から連続で見せてくるのが、小憎たらしい。

安心王道の展開だけど離さないストーリー

水戸黄門じゃないが、毎回の安心王道のストーリ展開。とても満足している。

関係なさそうな話を複数動かせながら、もちろんそれぞれは魅力的で飽きさせないが、時が経つたびに少しづつ重なり合い、つながり合い、最後には一つの解決に結びつく。

今回も、ワンパターンというか、ストレンジャー・シングスといえばこれでしょう。と言える王道の複数並行大事件発生。正直、観た始めた時には、またこれかあ。と、少し、侮っていたが、もう、完全に完敗で乾杯。

よくよく練られた脚本だと、関心感動しかない。最近、脚本が弱いなあと感じる映画やアニメをちょくちょく目にしたせいか、これだけよくよく練られ切った脚本を目にすると、嬉しくて涙がちょちょぎれてしまう。

もちろん、これらを束ねて大満足の作品に仕上げている監督や演出家の腕力は並大抵のものではない。これだけ世界中でヒットして、それはもう次はどんなになるんかいなと世界中のまなこが待ち構えている中、引き受け作るなんて並大抵の神経じゃ持ちません。

素直に、ありがとうと言いたい。

偉大で最高のB級を貫く偉大さ

前半は大満足で終わって、7月から後半戦。一体どんな物語が始まり、締めくくられるのか?楽しみ満載で待っている。

観ながらつくづく思うのだけど、ストレンジャー・シングスってのは、比類まれなる超大作のB級映画(ドラマ)

これだけ、ヒットしてお金をかけたのだからBってことはないのかもしれないが、話の内容は純然たるB級映画のそれ。

特に、この物語の素晴らしくすごいところは、最高の技術をふんだんに使って、最高の演出と、巧みな演技織り交ぜて、胸を張り、熱い思いで(推測だからわからんけど)堂々とB級の王道を突き進んでいるところ。

その、潔さが画面全体から吹き出して、吹き飛ばされそうになる。

やっぱり、あえて高尚な世界を目指さず、B級に徹するというのは全ての人々に良き結果を生むことが、しみじみ実感する。

この間、同じNetflixで攻殻機動隊をやっていたけど、けっこう気に入って観ていたら、最後の一話で、ちゃぶ台返しというか、やたらひねくって頭が空回りしてしまう、”知的”で”高尚”もどきの物語になって、心底がっかりした。

もう、頭が良すぎるのも考えもの。普通に単純にB級を押し切ったら絶対面白いはずなのにと歯痒く思った。まあ、理解できない僕のお粗末な理解力悪いんだと、監督さんからは罵られるやもしれんけど。

それに、初っ端の押井版で、あんなに知能指数が高そうな結末にしてしまったので、快活な活劇では恥ずかしく、猫も杓子もあれをもう一度、願わくば越えたいと、頭をフル回転せさてしまうことになってしまったのかもしれない。

押井さんも罪作りである。

で、つらつら書いてきたが、すごいええもんを見せてもらいました。ありがとうございますとおててを合わせ、7月の後半を首を長く待っている。

↓人気ブログランキングに登録しています。記事がよかったらクリックをお願いいたします。


人気ブログランキングへ