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スティーブ・ジョブズを観ました。
正直、演出が甘く、脚本も荒削りでスティーブ・ジョブズの生涯を
多少知っている人間でないと、ついていくのが大変だと思います。

また、ここぞとばかりに映像に凝った場面が随所で見られるのですが、
それに切れ味がなく、意図しているところは分かるのだけど、表現
力の弱さのみを感じさせるだけでした。

Facebookのマークザッカーバーグや、ウルフ・オブ・ウォールストリート
のジョーダン・ベルフォードなどの最近の伝記映画など、老齢な腕の立つ
映画監督を使い、作品の良し悪し、私個人の好き嫌いを別にして、
とても良く作り上げられているのに比べ、この作品は荒削りなところが
多すぎて、本当に残念です。

スティーブ・ジョブズの人生、Appleの存在を、かえって残念なものに
してしまっている作品でした。

やはり、彼が亡くなってから慌てて撮った、その問題が出てしまった。
もっと、時間をかけて彼の人生を掘り下げて、彼の持つ光と影、高尚
と邪悪を丁寧に描けば良かった。それだけ、魅力的な人としての生き
方をしているのですから。いくらでも掘り下げられる鉱脈なのに残念
です。

ただ、世の中の早すぎる流れがその時間を与えなかったのでしょう。
特に栄枯盛衰が激しいIT業界。数ヶ月後にはAppleさえどうなって
いるか分かりません。見る影もない姿になったAppleでは、ジョブズの
伝記は否応なく影が薄くなります。そこで、慌てふためきこの映画を
撮った、たぶん。もちろん違うかもしれませんが、どうしても性急な
荒く、甘い演出が気になりました。

ただ、悪いところだけではありません。特に、主演のアシュトン・カ
ッチャーはよくやっていると思います。ジョブズの生前の映像や書物
をかなり読み込んだことを感じさせます。

スティーブ・ジョブズのスピーチの威力をこの映画から知れたのは
収穫でした。

Appleの転機の時にジョブズの一人舞台、スピーチが行われます。
誰もが期待し彼の言葉を待っている中、まったく、気後れすることな
く、第一声を放ちます。

ジョブズの第一声は伝えるべき内容の核心を突き、それに導くため
無駄をそぎ落とし、最短で最適で最高の単語から出発します。それを、
甲高い通る声で聴衆に投げかける。その一声は鋭い釣り針となり、
人々は一気につり上げられます。

甘い演出がただただ流れている途中、突如、光を放つように言葉の
魔法が放たれる。スピーチの各シーンで胸が高鳴り、エセApple
ファンの私の心が涙しました。彼のスピーチは憎いほど巧みだった
んだなと、改めて思い知らされます。

言いたいところはたくさんある映画なのですが、スピーチのシーン
だけはとても感動しました。映画を飛ばして、何度も観て、スピー
チ、プレゼンの参考にするのも一考です。

こんなスピーチを聞いてしまうと、Appleの偉業の全てが、彼が魔
法により、突如として生み出したのだと信じてしまいます。

ただ、技術や製品は一個人力では到底作り得るもので無く、名も
知れない人々のたゆまぬ努力が積み重なり、さまざまな限界を超
えて実を結ぶものであるのも事実です。それを信条とする盟友ス
ティーブ・ウォズニアックは、彼と袂を分けました。

全てを破壊し再生し、凡庸な人生を苛烈な目的へ追い込む天才が
正義なのか、誰もが突き放した夜道でも、諦めずひたすら進む
名もなき者が正義なのか、それは、簡単に、単純に答えが出せな
い事です。なにか大きなことが生まれる時には、それぞれが必
要なのは間違いありません。ぶつかり、火を放つ火打ち石のよう
に。

スティーブ・ジョブズが亡くなった後でも、安定的に成長を続ける
Appleです。もうそろそろiPhone6の足音も聞こえてきました。
素晴らしいものになるはずです。また、新しい製品やOSも今年は
発表されると聞きます。

こう見るとAppleはジョブズのDNAを受け継ぎ、順調良く進んで
いるように感じます。彼が根は深く広く育っています。

ただ、最近古くからのMacやAppleファンが、意外と他のメーカー
やOSに興味を持ち始めています。気持ちに引っかかる製品サイクル
のタイミングが遅くなっているかもしれません。

こんなことは杞憂と、9月初めのApple発表会では、さすが!と驚か
せる製品を出してくれることを望んでいます。

 

 

 

 




 

 




 

 

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