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  「アリス・クリードの失踪」と映像の未来

 

「アリス・クリードの失踪」という映画を観ました。
前からレンタルショップで目立つように置いてあり、とても興味をそそられて
はいましたが、さほど有名な役者も出ておらず、地味目なイギリス映画との
思いもありなかなか手に取れませんでした。

だけど、ケースに受賞内容がたくさんのせられており、一見の価値は十分
あるかもと観ることに。

わずか3人で物語が進行していきます。本当に3人だけで、たとえば町中のシー
ンでも、歩いている人もいなければ、町の雑音もありません。画でも音でも
本当に3人だけです。

だけど、脚本が高密に組み立てられているのと、演出が俊敏で的確なため、
物語を縮小させることなく、強引に物語へ引き込んでいきます。

大編成のオーケストラが最高の品質を保つためには、いつでも小編成の管
弦楽団の感覚を忘れてはいけないと聞いた覚えがありますが、映画にも
言え、大規模な演出の映画でも、主要な人物に明確なフォーカスがされて
いないと、混乱しか記憶に残りません。

しかし、ちゃんとフォーカスされて、彼ら中心に脚本と、演出と、構図と、
編集が巧みに折り重なると、無限とも言える広がりと、重さを映像から
受け取ることが出来る。まさに、そんな映画でした。

最近は、CGなどで手軽に派手な演出が可能になりましたが、演出者は絶
対に、フォーカスすべき2,3人を見失うことをしてはいけません。
それをしなかれば、このように絶妙な人間関係を緊張感と幸福感で描き
切ることが出来るのですから。

僕がこの映画で心底惚れたのが、映画の構図。へたなドキュメンタリー
風に手持ちでぶらした構図を使わず、カメラの位置と役者の演技の
バランスを取りながら、考え抜いた安定したレンズで、動きを想定
しながら、固定した構図で取り切っています。

優雅というか、繊細というか、剛力というか、豪胆というか、繊細さ
としたたかさが見事に溶け合った構図です。奇をてらった構図と、
素早く不確かな動きを持つ構図が多くなった今、かえってとても新鮮
で美しい。

3人しかいないからでしょうか。演出にも苛烈な要求が演出と演者の
中で沸き立っています。必要性のある容赦ない裸体。言葉のいらない
怒号の動き。言葉一つで幾重にも変化する魂の脆弱さ。ほおずりした
いほどの知性に打ち付けられた、無骨な演出です。おもしろい!

この映画を観て不遜にも思ったのですが、2人の腕が立ち、身も心も
知り合った役者と、最近の一眼レフがあれば、面白い、映画が撮れ
るかもしれない。そう言えば、最近CanonがEOS70Dを出しました。
これは、写真よりも動画に非常に力を入れています。本気で満足の
行く、映画が撮れるカメラです。

この映画を見終わった後、何よりもの感想が、「映画を撮りたい」
その一言でした。この様な映画は到底撮れやしませんが、限られた
ロケーションと、キャスト、に芳醇な脚本と、的確な演出が振りか
けられたら、もしかしたら撮れるかもしれない。そんな、妄想に駆
り立てられる。この映画の最高な評価はそれに尽きる。

もしかしたら、Canonは確信犯的に今後、静止画を捨てて、動画へ
カメラを変化させようとしてるのか、そう、思わされました。それ
だけ、動画市場は広く、深く、魅惑的です。話はずれてしまいまし
たが、この映画の出来が、Canonのカメラ戦略の方向と見事に合致
しちょっと空恐ろしく、ちょっと愉快に感じたNikonおたくの僕です。

最後は映画とは違った、カメラ論になってしまいました。
それほど、限られた、本当にほんとうにシャープにフォーカスした手
持ちの武器で、ここまでの作品が作れるのか、人の心に訴えられるの
か、それならば、名も無く、力も無く、絆も無い哀れな創造者でも、
一滴の芸術を産み出すことが出来るのでは無いか?そんないちるの
光りにも似た希望を感じ書きました。

それにしても、イギリス映画は時に、こんな常識を超えた映画を作って
くれます。一時期世界の宗主国となった、英国人の持つ知性の広さと、
柔軟さ、それと偏光性は侮れない。これは、なかなか真似できないでしょう。
この監督の次回作が楽しみです。 

 

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