つまんない会話がどんどん進む。それも、今や絶滅危惧種のコーヒーショップで
の喫煙を題材に。
個人的にはコーヒーショップでの喫煙は地獄に落とされた亡者
の気分だが、喫煙する人にとっては
これ以上無いほどの至福の時なのだろう。


こんな僕も昔は喫煙していて、それも、コーヒーや酒と一緒に吸ったときにび
っくりするほどのおい
しさに酔いしれてものだ。


そんな、おいしさに包まれた人々の、悲喜こもごもを何気ない会話の中で見せてくる。
事件など無く、死ぬわけでも無く、泣きわめくことも無く、話は転がるが、僕の心も転がる。
おもしろい。この監督はめっきり映画を撮っていない。少なくとも、日本では見かけない。
ようやく公開された作品だ。でも、つまんないと思っていた。白黒を観るのがおっくうになっていた。


話もちょいとなめてみると、コーヒーとたばこを真ん中に置いた会話劇。
まあ、ジャームッシュだから試しに観てみようかなと暇なときに見始めると案外止まんなくなった。


ケイトブランシェットの一人二役いいね。特に、セレブ側が何とも可憐で、それでいていろんな
ことに頭を巡らせて、それが表情や目線にすっかり表れるところが実にいい。
それから、超美人がなぜか拳銃の雑誌をめくりながら、たばこをくゆらせて、丁度良いあんばいに
砂糖とミルクを入れたコーヒーをたしなむ場面も良い。なぜか鋭い魅惑的な目線で前のほうを
ちらちら観るのだけど、いったい誰がいるのか?いい男なのか、それとも女なのか?
気になってしようが無い。
とにかく良い映画だった。