何かの呪いか、エイリアン・コヴェナントをプロメテウス同様、吹き替え版で見る。

何かの呪いがあるのでしょうか。前作の「プロメテウス」を吹き替え版で見て、心底がっかりし、今度こそは字幕版で見るぞと決心していました。

あ〜運命のいたずらは僕を翻弄し、「エイリアン・コヴェナント」そう、後日談であるこの作品も吹き替え版で見てしまったのです。

どうしても、見たくなったら止まらないのが、堪え性のない僕の悪癖。なんとか上映されている映画館はないかと、それも、レイトショーでお安く。検索すると、あった。しかしそれは吹き替え版。

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どうしたものかと思案したけど、そこは止まらないのが愛の行方。誰が吹き替えしているのかと、まずは落ち着きiPhoneで検索。どうも坂本真綾など名うての声優がやっている。これならば、前回みたいに学芸会のレベルではないだろうと、少しばかり安堵して映画館に向かいました。

さて、前振りはこの辺で。映画の感想。あくまでも主観。

巨匠と誰憚らず言える立場のリドリー・スコットが監督しただけあって。安定感のある作品。とてもよろしゅうございました。

グロなシーンも満載なのですが、なんだかとても美しい。阿鼻叫喚の中で立ち往生する人の姿を、下品にならず舌足らずにならず、見事に描いています。アクションもキレがあっていい感じ。

また、今回からは創造主と創造された存在の葛藤。破壊等々生命と生存の深淵を下地に盛り込んでいるので、見てて深みがありました。その分、今までのエイリアンに比べて、絶対的に後味が悪くなったのは仕方がない。なんだか、ベルセルクを見た時のような絶望の始まりを感じました。

映画としては、映画館で大枚叩いて視聴し、十分満足いくものだったのです。でも、ちょっとだけ、でもなあと思うところが

地球環境にとても似た惑星に降り立つのですが、「プロメテウス」の時も同じように未知の惑星に降り立つのですが、かっこいい宇宙服で完全装備をして、武器もなんだか未来的で、デザインコンセプトにSFだなと感心したのです。が、今回はなんとその辺でよく見るような軍服か、登山服みたいな格好。それもヘルメットも被っていないから、即、大気に触れて衛生もなんもない。

手当たり次第に触ったり、水を飲んだり、おまけに変な植物に近づいて顔を近づけて見たり、このことがとんでもない悲劇を呼ぶのですが、あんまりにも安全管理ができていないのが、ギャグとしか思えませんでした。

「プロメテウス」の時なんか、ヘルメットを取ると感染するかもしれないから、絶対とるな。いや、窮屈だし酸素もあるので、取ってもいいんだと、長い間論争していたのに。

それに、設定は「プロメテウス」から、10年も経っている。それなのに、装備はどう見ても退化している。この辺はなんとかならなかったのか、もしくは、制作側の僕のような凡人には理解できない意図があったのか。よくわからないでいます。

それと、格段に地味にはなっています。役者も地味だし、演出も地味。「プロメテウス」はハリウッドスター満載。ゴージャスなCGとてんこ盛りだったのですが、今回は堅実です。良く言って。

それと一番残念なのが、途中からもしやと思っていたら、案の定。あの人が悲しいことに。僕としてはアンドロイドと博士の愛情の物語が続くと期待していたし、それを楽しみにしていたのですが、これは残酷に裏切られました。もう見られないのだと思ったら、悲しかったです。

色々言いたいことはあるのですけど、映画としての作品の堅実具合は、脚本にしても、演出にしても「プロメテウス」の上を行っています。さすがにリドリー・スコットです並みの監督では、ここまで見事に整えることができません。

老齢にもかかわらず、アクションシーンはキレがあるし、役者の演技も鬼気迫るものがあります。そして、主人公と言えるアンドロイドの意味深な会話の深さ。映画のいろはを全てつぎ込んだ作品でした。

なお、アンドロイドと同士の会話や、冒頭と、最後に流れる音楽(ワーグナー)そこが意味するもの、はこの物語の確信となるものですが、キリスト教や北欧文化に疎い日本人には今ひとつわからないところなので、いろんな人が解説しているサイトがありますから、それを見た後でも確認したほうがいいと思います。

なんたって、この作品の当初の題名が「失楽園」だったのですから。これがこの物語の全てです。こちらにすれば僕なんかはもっと物語の主題を掴みながら、観られはずです。まさに、創造されたものの苦悩と恨み。なんとも、面白い。

この作品もなんども観て、自分なりに解釈しながら、じっくり味わえる作品です。映画館でもう一度見るかどうかはわかりませんが、DVDが出たならもう一度見るつもりです。

で、吹き替え版で観てよかったか?やはり、没入感が薄れてしまい、字幕版にすればよかったと、後悔が後を引いています。









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