さっき「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観てきたので思いつきをつらつらと。

なんだか、感動もしないが、拒否もできない、なんだか不思議な映画だった。だらだらとわ言わないけれど、延々と続く場面、演技、をずるずる観ながら。変な眠気や考え事に悩まされず、3時間半を飽きずに見切ることが出来た。

監督の力量なのか、名優たちの演技なのか、はたまた濃厚な場面展開なのか、よくわからないけれども、変な居心地の良さを感じながら、銀幕の中で動く人々を傍観していた。

正直、過去数々のギャング映画を、濃密で抜き差しならない緊迫した画にしてきた、マーティン・スコセッシにしては、淡々とした映画。だけど、人生の終わりに差し掛かった、堪え性が潰えて、3時間半も思いを映像にしてしまう、老境の大監督のしぶとい思惑が画面全体に垣間見えて、あゝ、僕は今、映画を観ているんだなぁと、感じた。

大監督とか、名監督とか、監督の名前で作品を選ぶことは少なくなった。作品をその名で選べる残り少ないマーティン・スコセッシ。これからも、撮り続けて欲しい。

演者のことだけど、一番良かったのはネイティブアメリカン(最近はこの表現がいいのか?)の妻役の方は、とても良かった。どこでも、かしこでも出ている人ではないが、演技が上手くて、これだけではもったいないと思う。

アメリカの映画でも、ドラマでも、いつも感嘆するのだけど、見ず知らずの俳優がびっくりするほど、演技が上手くて、惹きつけられる。一体、どれだけ俳優の層が厚いんだと、空恐ろしさを感じるほど。

知らないからこそ、臨場感というか、今そこにいる現実の人々と感じる。

それに引き換え、どうしても、レオナルド・デカプリオだと、頑張っているのだけど、デカプリオだ!と、観てしまう。気か弱くて、いいように扱われる、気弱でいい加減な小悪党を、全身全霊で演じてはいるが、有名な俳優として見て、そこにある人々の一人とは見えずに終わった。

だけど、これが凡庸な風貌で地味だけど演技はピカイチの、無名の俳優だったら、映画館に入っただろうか。僕以外でも。主人公クラスの人を寄せる力はあのどれないので、現実的なこととして、必要だったのだろう。

もう一人、ロバート・デニーロも主人公クラスでていた。これは、スコセッシ組の相棒。相変わらずの演技のうまさで、憎々しい男を演じていて、演技ながら、本当に嫌いになりそうだった。

若干ネタバレを少々。

で、この話は現実に起こった事件を基として作っている。だから、スッキリとした勧善懲悪とか、悪が最後は駆逐されることはなく。

確かに一通り捕まるけれど、一番の悪者はお金をばら撒いて、終身刑なのに途中出所し、最後は老人ホームで悠々自適に終わるみたい。

確かに、経歴に傷はついたけれど、別に実質的には大したことがなかったよう。そうじゃないかもしれないが、僕はなんだか虚しさを感じた。

そう言えば、ロバート・デニーロが演じていた黒幕が、僕の知り合いにとても似ていて、一見すごくいい人で話が上手く、誰もが好感を持っていた。だけど、裏で会社のお金を懐に入れていたり、脱税していたりして、摘発されて逮捕された。

その人、会社の子飼いの人間と口車を合わせて、脱税で捕まったのに、しっかり退職金を数千万出させて、その金で賠償金を払ったり、一部、懐に入れたりして、今はのうのうと豪邸で過ごしている。

彼を見ていていつも思うのだけど、世の中、やったもん勝ちだなぁと。でも、悪いことはお天道様が見ているから、決してやっちゃダメですよ。ってところで、この辺で感想というには憚るものを。

で、最後。色々思ったけど、人には勧められないが、どうしてもこうしてもいい映画だった。

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