凡庸”映画”雑記「BLUE GIANT(ブルー・ジャイアント)」
「BLUE GIANT」ブルー・ジャイアントの評判がとても良い。漫画の時から、興味を持っていた。それならばと、観ることに。
本当に評判が良くて、誰も彼もほめそやしている。それも、日ごろ目に耳にする名のある人が。これなら、見て損はないかもしれなと、楽しめるに違いないと、気持ちを固めて、一応、仕事終わりの定時後 映画館に入った。
ちなみに、芸術品に一言、二言ある有名どころが、褒める作品が自分に合っているとは、けっして、けっして言えやしない。だから、なるべく期待を低く抑えるように努力して見始める。
結論として、ひどくガッカリし、ひどく感動した。ひどく両方にブレが激しい作品だった。そして、相殺されて、今の感想としては、もう一回、映画館で見てもいいかなと思える程にはなった。
まずは、とにかく演奏シーンのCGが酷すぎる。
近年稀に見る酷さだった。(あっ、これはあくまでも個人的な審美基準なので、事実とは違う可能性があります)
最近、年々、映画のみならず、TVや配信でもCGがすごい勢いで綺麗になっている。ついこの間配信された「進撃の巨人 ファイナルシーズン」なんて、神がかっていて、意識を持っていられたし、ひどいと一部に言われていた「チェーンソーマン」だって、僕にとっては感動の極みだった。
もちろん、常軌を逸した「鬼滅の刃 遊郭編」なんて、世界の片隅に確実に何かを残した。何かというのは言葉の足りなさゆえの表現だけど。
そんなのを、iPadを開いて、ポチッと配信ボタンを押すと、何事もなく流れていたから、この映画の演奏シーンは、鳥肌ものの嫌悪感を抱いてしまった。あゝ、これはあくまでも個人的な感想。
どうして、このまま押し通したのか、かえって不気味な作者の自信みたいなものを感じた。これをひっくり返すほど、亡きものにできるほどの何かを、持っているのだろうと見ながら考えた。
そのままの状態でずるずる物語が進む。
もう一つ、どうしても気になったことが、声優の演技。
若手のイケメン俳優を遣っているんだろうなあと、はっきりわかる声が終始耳に付きどうにもこうにも、気になって仕方がなかった。映画の声優は、テレビや映画の役者がやるって、モーゼの十戒にも刻まれているはどの、不文律だけど、まあ、それはいいとして、諦めるとして、もう少し演技の内容を追い込んで欲しかったと、切に願った。
ちなみにこれも個人的な体たらくな審美眼の判断だから、けっしてあてにも参考にもならならないように。切に願う。
で、もし、叶うならばせめて「ぼっち・ざ・ろっく!」の上澄みを掬い上げ、「四月は君の嘘」を振りかけた演奏シーンを撮り直して欲しい。そして、「チェーンソーマン」の若手声優たちを使って、はたまた、「進撃の巨人」か、「呪術廻戦」の有名どころを使って、撮り直して欲しいと妄想を抱きつつ、大体4分の3ほど、イマイチ乗り切れず映画は進んで行った。
それがだ、どうしてだか、最後の4分の1で相殺されて、ガッツリかなり感動させられた。
この監督、意外に不器用な演出をする人なのかなと、観ながら感じてしまった。これ、個人的な感想。初めのかなりののんびり感というか、ダラダラ感とまではいかないけれど。どうも、よくある青春なんとか物語。
同じアニメでも、初めからグイグイズリズリ引き摺り込んで、けっして離さない芸達者の「雀の戸締り」とはえらい違い。
改めて、映画は時間芸術だと発見する。
このまま終わっちゃうのかなあ。評論家や音楽家、それに、有名YouTuberなどなと、えらいさんに騙されとはいかんけど、自分とは違うんやなあとしみじみ感じ始めた。
が、それが、どうだ、ここでこうなるよなあ。盛り上げるよなあ。とベタベタの展開が予想通り進み、これで終わりかと、後は残された余生を過ごす仙人のような気分で見ていたら。
最後の最後、特別なところで念願叶っての演奏シーン。このシーンを観ながら、気がついたら、もしかしたら、とんでもないものを僕は観ているのか、魅せられているのか、圧倒的な演出の質量と重量に圧倒された。
後は、身を任せるまま、緩む涙腺を感じつつ、心の高揚を整えつつ、最後まで堪能することができた。結局、あれだけ、これだけ、ぐだぐだとあれがこれが気に入らんと、騙されたと言っていたのに、最後の最後大満足というのは節操ないが、かなりの満足感でエンドロールを迎えることができた。
ただ、それでもCG問題や演技は納得してないけれど。