Netflixで「First Love 初恋」を観る。

最近、「今際の国のアリス」を観て、かなり面白かった。日本のドラマもなかなかやるではないかと思った勢いで、つい、出来心で観てしまった。

観るからにコテコテのラブストーリー。まったくもって似合わないし、縁がない。金輪際観てやるもんかと、ずっと心に決めていた。

が、どうも評判がいい。とても気になる。今際の際で日本のドラマも面白そうなのが判明した。

それに、主演が満島ひかり。好きな女優だ。

食わず嫌いを捨て置いて、とりあえずは1話だけでも試してみても損はない。なんたって、Netflixなので追加でお金も必要ない。

そんな、気楽な興味で、観始めた。

この作品宇多田ヒカルの「ファーストラブ」から影響を受けたらしい。世代的に丁度聞いていた世代だから、懐かしい思いと、なぜ、今更って思い。このドラマを作った人も、ドストライクの世代なのだろう。

とても繊細で、しっとりとした作風。それでいて、独りよがりなところもない。ギリギリの線で、陳腐さを回避している。観ながら、このドラマの独特の感覚は、女性の監督かなと思って確認したら、やっぱり女性の監督、それに脚本も女性だった。

全体を流れる、艶やかでするりとした心地よい感覚は、男性では出せないものなのかもしれない。

だけど、愛し合う二人だけの、蜜のような物語ではなく、時代の様々な風雪や、シングルマザーの悲哀、どうしようもない自然の猛威などを取り込んで、物語に深みを持たせていた。

それから、このドラマを観てもいいかなと思った一つは、役者たちだった。

主演の満島ひかりはとても好きな女優。だけど、個人的に思うのは、もったいない女優だと思っている。素晴らしい演技力の持ち主だけど、この強烈な個性的演技のせいで、彼女を活かす作品や演出家が少ないからだ。僕はそう感じている。

下手な物語や演出ならば、完全に喰われてしまう。

どんな作品でも、すんなり染まる役者じゃないから、何でもかんでもとはいかないところがあるのではないかと、彼女を見ながらいつも思っている。

正直、観る前までは、どうしても彼女と恋愛が結び付かなかった。愛とか恋とか好きとかなんとか言いながら、ニタニタしている彼女の表情を想像できなかった。

だから、評判がとても良い。と言うのが今ひとつ信じられなかった。そう、怖いもの見たさで、興味本位で初めは見始めた。

それがだ、すんなりと物語の中に住んでいる彼女に、すんなりと見入ることができた。八面六臂の大活躍というか、やっぱり、彼女は面白い役者だと、喜んだ。

周りの役者たちも、芸達者の人たちが揃っていて、観ていて楽しかった。

たくさんいるが、濱田岳は改めて良い役者だと思った。

なんだろう、どちらかというと陳腐とも言えるほどの冴えない風体をしているのに、彼の声や動き、不安定な視線など、カッコよき部分は無いはずなのに、彼が画面の中にいるだけど、物語の全体が一段浮かび上がる。

ヒーローにはなれないけれど、別の人だけど、絶対必要な市井の人。それを、改めて感じさせられた。

青春時代の主人公二人と、現代のすれ違う二人を、交差させて物語を引っ張っていく脚本はとても素晴らしかった。また、登場人物たちの、悲劇と喜劇、愛と憎しみ、喜びと悲しみ、人と人、大人と子供、それぞれの立場と感情を合わせ、比べ、ぶつけ、物語に彩りを与える脚本はとても良い。

中盤の、感情を殺して、それぞれが相手を思いやるからこそ生まれる悲哀は、大人な演出だと、感心した。

なんだか上手くまとまらなかったけど、結局は、意外にお得な面白さが詰まった。僕に似つかわしくない、人生の中には訪れないだろう、恋愛物語というところ。

最終話の前の一話で、終わってもある意味素晴らしかったけど、最終話でひっくり返って、なんだかとても嬉しかった。こんな事ってあるわけないと思っても、嬉しくなって良いじゃぁないのと、喜んだ。

で、Netflix。最近、面白くなったと思えた作品だった。

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