「パラサイト(Parasite) 半地下の家族」を観た

かなり評判の高い作品で、まず酷評している人はいないようです。

でも、今ひとつ僕は乗り切れなかった。ボンジュノ監督の作品はどれも大好きで、ハズレなしと期待していたのだけど、今回は肩すかしをくらったような感想です。

次々と予想を超える展開。ひと時も目が離せない。それは間違いない。それに、世界中で問題になっている格差と貧困を扱っている社会性への視点。まさに今をとらえた名作に違いないのです。

ただ、かの監督らしいというか、韓国映画らしいというか、人のえげつなさ毒々しさが良い意味、薄れたような気がします。

騙され続けて、最後には悲しい結末となるお金持ちの家族。貧困から抜け出すために、悪どい嘘をつきながら突き進む貧しい家族。

二つの家族とも、哀しく優しい。

その点が僕の心をすり抜けたのかもしれません。韓国映画だからと、徹底した悪人と、徹底した悲劇を期待したのがそもそもの誤り。いや、それ以外にももう一歩二つの家族に感情を寄り添わせることが出来なかった。

登場者へ強引に強制的に引っ張られるのが、良くも悪くも韓国映画。だけど、この映画はなにか薄皮が広がった俯瞰性を感じます。

一部のコアでマニアックなファンをとらえず、世界的に共通の言葉として表現が認められたのかもしれません。

それにしても、折り重なるような物語の展開と、暗い社会を描きながらも飄々としたエンターテインメントに作り上げたボンジュノ監督の力量は特筆するものです。熟練の域に達した感があります。

正直、いい日本映画はたくさんあります。でも、この映画のような世界的共通言語になれるかといえばなかなか難しい。黒澤や小津、溝口等々歴史に残る作品が生まれてきたのにとても残念です。

映画というのは、社会性、個人の才能、撮る環境など複雑に関わり合いますから、頑張ってどうのこうとなるわけではありません。

そう言えば、映画以外に音楽などでも韓国が、世界的に評価されています。それはなぜなのかこの機会に一から学ぶべき必要があるのかもしれません。

少し前、ニュースサイトを見ていたら一人だけ人物描写が弱いと書いていた人がいました。珍しく僕の気持ちと同じです。きっと変わった人なのでしょう。

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