凡庸雑記「小都市」

今日出張から戻ってきた。少し寂しい小都市から。寂しいけれども味があるというか、変に愛着を感じる気になる街。

仕事で何度か訪れる機会があったが、お客が撤退するとこになり、いよいよ今回で最後になる。別に何も目立ったところがない、それどころか、シャッター街が続く寂れた悲しい街。

だけど、こうしてもう来ることがないだろうと思うと、とても寂しくなった。

最後の思い出として、Nikon Z6で撮影すればよかった。けれども、邪魔になるのと、豪雨が予想されたので、カメラを持ってこなかった。面倒さが優った。

車で訪れたのだから、ほんの少しかさばりなんて気にせずに、持ってくればと後悔。

後悔は後に立たず。

ここも、駅の近くのショッピングモールはかなり閑散としていた。前来た時にはもう少し店があったはずだが。前にあった、いきなりステーキもなくなっていた。

前来た時に、昼飯を食べようと見回したが、周りにファミレスも、ファーストフード、牛丼屋が全くなく、いろいろふらついた挙句、ここのいきなりステーキに飛び込んで、急ぎ肉をかけこんだのを思い出す。

何気に見ると、入り口付近に金髪派手目の女の子がやたら目立つ、中に入ると、あちらこちらに派手目の男女が多数。彼らがたむろしている付近を見ると、美容専門学校の名が。

そうなのかと、変に納得。街の未来のために、鳴物入りででっかく作った建物が、今や潰せず使う術もなく、閑散としているのは、どこもかしこも見受けられる。哀れさが身に染みる。

2階に上がる。どこもかしこも照明が落とされている。ここも、何にもないかとガッカリしつつ、ふと目を挙げると、遠くの方、やたら眩しく輝く場所が。一体何があるのやらと、近づくとそこには本屋。

絶滅危惧種の本屋が絶滅寸前のこの場所にあるとは。その意外性が嬉しい。

吸い寄せられて、店に入り、ぐるりと見渡し妙な感慨に耽る。何か一冊でもと思ったが、どうにも踏ん切りが付かず、手ぶらのままで店を出る。こんな優柔不断な人間ばかりだから、街の本屋は消えて行くのだろうと、ぼんやり思う。

全く何もないと思える寂しき街角にも、カメラを向ける場所はいくつもある。いっぱしに撮影好きと言うならば、一期一会と言うが、持って歩くべきだったと後悔する。もう、訪れることはないだろうこの街の中で。

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