こんにちは僕は万年筆です。ご主人に買われて、今飼われています。種族はペリカンというらしいです。
なんというか物に釣られやすい性格のご主人が、自分で言っては何ですが僕のような高級な筆記用具を持ちさえすれば、創造性を発揮して、そりゃもう誰からも賞賛されるクリエイターになれると妄想してインターネット通販で買ったのです。
結果は、想像されている通り、創造ならぬ想像いや夢想で終わったのです。こんな夢ばかり見て、結果は雀の涙のご主人との日々を呟いて行きます。
さて、今日のご主人はどうだったのでしょう。
ご主人。貧乏な部類の人間なのに、ぽんぽんお金を使ってしまう浪費家です。欲しいものがあると、我慢をしようとはしているようなのですけど、あれこれ理由をつけては我慢できずにお金を出しちゃうんだよね。
なんとも、かんとも、工夫次第で何とかなると思うんですけど。ご主人の言い分としては、手に入れたらそれ相応の結果が生まれて、確実に便利に快適になるとのことです。
ご主人なにか買う前に必ず呪文のように「投資」という言葉を呟くんです。
結局欲しいだけなんですけど、価値も意味もないのにそのような添加物をふりかけないと安心できないんですよね。意気地無しなんです。
「投資」といって手に入れて幾らの散財をしたでしょう。似合わないのにApple製品に熱を上げ、MacBookPro15inchなんか買い、それも借金をして、それから、お決まりのiPhone。そして、この間iPad Proまで買っちゃったんですよ。iPad Proを買ったらやっぱしApple pencilも必要とそれも。絵心なんて皆無なのに。
ああ、カメラも買いました。次々と買い替えて今NikonのD7200なんで結構いいかめらを持っています。それで、せっせと写すのかしらんと見ていたら、重くて大きいからとケースに入れたまま。
それからそれから、本なんてもう目も当てられないほどに買ってるのですが、ほとんど埃をかぶっている状態。
特に技術書なんて、はじめの数ページを読んだら、もう頭がクラクラして頭は真っ白。ご主人頭の足りなさを嘆き、二度と開かないのです。これを「投資」というのでしょうか。
ああ、ビジネス書。これも山のように投資しましたね。あるビジネス系の自己啓発コンサルタントの話に、もう、有頂天になって、ビジネス書を読むだけで世界が自分のものになると思っちゃた。もう、残念な人!というしかない。
マーケティングから、戦略、自己啓発エトセトラエトセトラ。一時期手当たり次第に読んでましたね。ご主人けっこう楽しんでました。この類の本は夢を見させて、人生をかりそめだったとしても高揚させるのでしょう。
読んだ後のご主人。僕を持つ手が自信にあふれていました。
で、現在のご主人はというと、会社でも色々と積極的にマーケティングなるものをやったようなのです。なんと!Adobeのイラストレーターでイラストを作り、それをDMで出したり、サイトを作ったり、ほんの少し反応はあったようですけど。
いまだに、薄っぺらの給料と、陥没するぐらいの立場から観察するに、ご主人の大好きな「投資」の結果は徒労に終わったということでしょう。
方や、ご主人の同僚もビジネス書大好きな方だったのですが、すごい賢くて能力の高い人でした。この方は、手がけたビジネスが成功し、社内でもかなり高い地位にいるようです。
なんだか、ビジネス書の内容以上に個人の能力うんぬんがミソになるような気がするのですけどね。仮にビジネス書の内容が正しく、価値あるものであっても、それを受け止める人間側で、理解して実務に転換できる才能が無いと、単なる夢を見させる小説にしかならないのですから。
こんな感じで、僕のご主人。なかなか「投資」の結果が伴わない人生を送っています。でも、今日も明日も相変わらず「投資」をするのでしょうね。命尽きるまで。
ちなみに今、「投資」を狙っているのはAdobe Lightroomみたいです。